次世代への架け橋に
長い年月の経過によって傷みをともない、輝きを失っていく社寺建築や美術工芸品。 そのような文化財の劣化箇所を調査して本来の姿に近い形に修復するのと同時に、日本が誇る千年の技と心を後世へ引き継ぐ架け橋となることが文化財修復を担う者の使命だと考えております。
修復現場で用いられる工程の大部分は先人たちの知恵と伝統技法が礎となっております。そうした修復技術には「漆塗り」、「彩色」、「丹塗り」、「剥落止め」、「金具修理」「木部修理」、「石質修理」など多岐に渡ります。また現代の科学技術を用いることで、昔では出来なかった非破壊検査などの調査も可能となりました。それぞれの技術は独立しているようですが、社寺建築やお仏像などを御修理する 際にも「彫刻修理」「漆塗り直し」「彩色直し」「金具修理」と複合的に修復技術が組み合わさっており、さまざまな職人の技術を結集して一つの文化財を修復するケースがほとんどです。したがって修復に携わる職人たちも一つの分野に特化するだけではなく、総合的な知識と経験を積んだ人材が必要となります。
「伝統は常に新しい。」という言葉があります。伝統は昔のことをただ繰り返しているのではなく、日々新しい創意と工夫によって今に生きているという事です。京都平安美術では、日本中に散らばる多くの職人たちとネットワークを結び、「後継者不足の問題」や「手しごとを現代にどう活かすか」など意見交換をしながら、修復分野の事業者に多い家業経営や徒弟制度のあり方を見直し、伝統文化と保存技術を永続的に社会で発展させていくことを目指しております。
「数十年先ではなく、数百年先を見据えて。」私たちは先人たちの知恵と技術に敬意を表しながら、昔と変わらぬ「伝統の技と心」を守り続けていきたいと考えております。
継続的な技術の向上と発展を実現させながら、日本の伝統技術や素晴らしい文化を継承していくという確固たる信念をもって、今後も文化財修復の発展に貢献していきたいと願っております。
代表取締役 河村悠介